イタリア ボローニャで知る精神保健の地域活動 ~食と芸術の旅~

募集は終了しました

イタリアで、精神科病院の廃止を定めてから41年、医療や福祉の支援者はどのように革新を支え、当事者と家族、地域社会はそれをどう受け止めてきたのでしょうか。
東京ソテリアでは、2018年10月、ボローニャで活動するアルテエサルーテ演劇集団を招聘し公演活動をおこないました。その活動は大きな反響を呼び、2020年10月の再招聘再公演が決定しました。

ボローニャ精神保健局の全面バックアップによる地域活動としての食と芸術活動をめぐる旅。地域活動の中で「食」をどう扱っているのか、「芸術」における取組や運営の歴史は・・・その背景にある医療・福祉施設の視察、イタリアのピアサポーターや家族との、本音の語り合い、社会的協同組合での就労体験、支援者、当事者、家族、行政など、それぞれの立場から、これからの精神保健・医療福祉のあり方について考えましょう。

日程

2019年10月(視察内容は仮であり変更になる可能性があります)

グループA グループB
(芸術)
グループC
(精神保健)
5(土) 東京発ー
同日ボローニャ着
東京発ー
同日ボローニャ着
6(日) 午後 オリエンテーション 午後 オリエンテーション
7(月) 終日 精神保健視察
①医療・デイケア
終日 精神保健視察
①医療・デイケア
8(火) 終日 精神保健視察
②居住・就労・ピアサポートなど
終日 精神保健視察
②居住・就労・ピアサポートなど
9(水) 日伊共同就労支援プロジェクト体験
または近隣都市観光
東京発ー
同日ボローニャ着
日伊共同就労支援プロジェクト体験
または近隣都市観光
10(木) 世界精神保健デー 日伊合同精神保健フォーラム
11(金) 終日 ③地域における芸術活動視察 終日 ③地域における芸術活動視察 ボローニャ発
12(土) 終日 ④地域における芸術活動視察 終日 ④地域における芸術活動視察 東京着
13(日) ボローニャ発 ボローニャ発
14(祝月) 東京着 東京着

※グループA:10月5日(土)~14(祝月)
グループB:10月9日(水)~14(祝月)
グループC:10月5日(土)~12日(土)の3パターンの日程をご用意します。

費用

グループA:333,000円
グループB:260,150円
グループC:285,150円

※ フライト+宿泊 朝食代込み
※ 現地での視察に関する移動費や通訳費も含みます
※ 観劇料や地域活動としての「食」を味わう食事代も含まれます(滞在中全ての食事代が含まれるわけではありません)

世界精神保健デー 日伊合同精神保健フォーラム

10月10日の世界精神保健デーにイタリアボローニャとの合同フォーラムを設けます。日伊双方に精神保健の現状を発表します。

なお、本企画は第62回日本病院・地域精神医学会とスカイプでつなぎ、イタリアの現状の報告を含むディスカッションをおこないます。

世界精神保健デーとは

1992年以降、毎年10月10日を世界精神保健デーと定め、メンタルヘルスについての意識啓発と偏見をなくす活動が行われています(世界保健機構: WHO)。我が国においても、精神疾患や精神障害者に対する正しい理解の促進を図るため、様々な活動を通じて普及啓発が進められています。特に、精神障害者福祉の現場においては、「入院医療中心から地域生活中心へ」という方策を、当事者や当事者家族を含めた地域の共通認識とすることが重要となってきています。

定員

20人程度
精神保健・医療福祉の従事者、当事者・家族、障害者雇用の関係者、行政、その他一般

問い合わせ

以下の内容をご連絡ください。

NPO東京ソテリア:塚本
Tel  03(5879)4970
E-mail info@soteria.jp

 

ボローニャ便り 11月29日

11月29日(木)

エータベータ就労14日目

 

エータベータでの就労も、最終日となりました。

今日は野菜エキスパートのステファニアさんから、たくさんのレシピを教わりました。

1つは、ソテリアエンプロイメントで行なっている移動売店用のレシピとして、イタリアの伝統的なパンのティジェッレ(TIGELLE)。

2つ目は、3種類のお米のリゾット。

3つ目が、昨日下準備をしておいたノルマソースのパスタです。

ティジェッレの基本の材料は小麦、牛乳、お水、バター、お砂糖、お塩、イースト菌です。

お砂糖は入れても入れなくても良いが、入れると生地の発酵が促進されると教わります。

材料を順番に混ぜ合わせて、暖かい場所に置いて発酵をさせます。冬場は発酵に適した温度の24〜25℃に設定をしたオーブンに入れると、より良いそうです。

目で見て確認をして、生地が2倍程度まで膨らんだら発酵完了のサインです。

時間は夏場と冬場、気温と湿気によって変わってくるので、その都度確かめる事が大切だと言っていました。

3種のお米のリゾットは、ラディッキオという野菜のリゾット、カボチャのリゾット、ビートのリゾットでした。

オリーブオイルを熱して玉ねぎを炒め、お米と野菜のスープ、具材を入れて炒めます。お米が十分な固さになるまでスープを補充しながら炒め続け、最後にバターを和えて完成です。

ラディッキオのリゾットのみ特殊な工程が続き、見た目を良くする為に型にラディッキオを敷いてリゾットを敷き詰め、オーブンで焼いていました。

ラディッキオは苦味のあるリゾットなので、砂糖で甘く煮た玉ねぎを乗せていました。相反する味を同時に楽しむ事ができ、非常に美味しかったです。

カボチャのリゾットにはアマレッティというイタリアの焼き菓子を砕いて散らしていたのも面白く、印象に残りました。

ノルマソースのパスタは以前持ち帰ったレシピとはまた少し異なり、今が旬ではないフレッシュトマトの代わりにトマトソースを使って作りました。

料理に正解や決まりきった分量は何一つなく、アート(見た目)であり、味を楽しむものであり、作り手によって自由に無限大に変化していくものなのだと思い知らされました。

基本的なレシピはもちろん学ぶ必要があります。でも、そこからどうアレンジするかは料理人次第。

分量よりも、調理の感覚や目利き、手の感触を研ぎ澄ませる事が、料理人にとって何よりも重要なのだと教わりました。

今回のエータベータでの就労を通して、その事を強く学んだ1ヶ月間となりました。

 

最後に、エータベータの皆さん、精神保健局のドネガーニ先生、カテリーナ先生、イタリアで関わってくれた皆さん、共同生活をして通訳をしてくださった栗原さん。

そして、イタリアでの生活・就労の機会を与えてくださったソテリアエンプロイメント代表の野口さん、塚本さん、本当にありがとうございました!

Nより

ボローニャ便り 11月28日

11月28日(水)

エータベータ就労13日目

今日は午前中に、エータベータでソテリアエンプロイメントのA型のメンバーとSkypeのテレビ電話でやりとりをしました。

移動売店で提供予定のティジェッレの事や、オレンジカフェのメニューにあるレシピの質問、新メニューの事などメンバーからの様々な質問にエータベータのジョバンナさんが答えてくださいました。

そのやり取りを終えた後は、エータベータで10年以上長く働いているロザンナさんと一緒に、以前習ったトルテッローニ(Tortelloni)の復習です。

(以前習ったトルテッローニのブログ→https://soteria.jp/a/3778)

 

今回詰める中身は、カボチャと卵黄、パルミジャーノにナツメグ、お塩、アマレッティというイタリアの焼き菓子を混ぜ合わせたものでした。

詰める時にある程度固さが必要なので、パルミジャーノでその調整をします。

基本的にトルテッローニの中身は何を詰めても良く、ボローニャの伝統的なおヘソの形を作る事が難しければ、上下をくっ付けるだけのサルビアという三角形の形でも良いそうです。

前日に作っておくとより美味しくなり、その場合は1人前を冷凍させておいて、茹でる時に解凍はせずにそのまま沸かしたお湯に入れて茹でるだけだと教えてくれました。

家庭の冷凍庫で半年くらいは持つそうです。

今日作ったトルテッローニに和えるソースはチーズのソースか、またはバターでした。

カボチャの甘さとチーズが相まって、とても美味いパスタでした。

休憩中はアリアンナさんとお話しをして、こんなアドバイスをくれました。

「仕事をしている間は自分の過去の事を忘れられる。パスタを作る事で、材料と一緒に自分の考えや思いを混ぜている。悲しい気持ちは発散させて、自分の喜びを混ぜれば喜びのパスタになる。あなたもやってみて」

調理を仕事としての方法だけではなく、自分自身と繋ぎ合わせて自己と向き合いながら調理の事を学んでいる彼女の姿に、刺激を受けました。

午後は明日に教わるノルマソースの下準備をして、今日の就労は終了です。

 

夜はアルテサルーテ劇団の演劇を観にボローニャの劇場へ。

普段は「チャオ!」と皆んなとてもフレンドリーですが、舞台の上ではガラッと表情が変わり、真剣に演劇をしている彼らがとても眩しく見えました。

イタリアでの生活も、残りあと1日です。

Nより

ボローニャ便り 11月26日

11月26日(月)

エータベータ就労12日目

昨日の夜、滞在生活をしている家の暖房器具(テルモシフォーネ)からお水が漏れるというハプニングがありました。

遅い時間だったにも関わらず、大家さんがお友達と一緒に観ていた映画の鑑賞を中断して、家まで駆けつけてくれました。

困っていたら躊躇せずに直ぐ手を差し伸べる。イタリア人の優しさに、胸がとても温かくなった出来事でした。

 

今日はエータベータに、ミシュランで星付きのレストランのシェフの方が来ていました。ナポリのホテル内にあるil Comandante(イル・コマンダンテ)というレストランから料理長とそのアシスタント7人の方が来て、夜の夕食会のイベントの為に料理の腕を振るいます。

私はエータベータのジョバンナさんに、デザートのティラミス(TIRAMISU)を習いました。

オレンジカフェで「クリスマスに提供できるデザートで何かないか」との質問に、エータベータのジョバンナさんがイタリアで冬によく食べられるティラミスを提案してくれました。

ティラミスは主に2つの作り方があり、大きな容器でたくさん作る方法と1人前だけを作る方法があります。

ジョバンナさんがどちらも作れるようにと、両方の作り方を教えてくれました。

基本の材料はマスカルポーネに卵、砂糖 、ココア、サヴォイアルディというティラミス用のビスケット、薄めのコーヒーです。

卵は良く冷えたものを使うと、泡立てやすいとの事でした。

ココアは砂糖の入っていない100%カカオのものが好ましいそうです。

サヴォイアルディというビスケットは日本ではあまり手に入らないので、柔らかめのビスケットで代用すると良いとアドバイスをくれました。

飾りやアクセントに、ダークチョコレートを細かく刻んだものを散らしても良いそうです。

作り方もとても簡単で、マスカルポーネと卵と砂糖でソースを作り、コーヒーに浸したビスケットとその他材料を層になるように順番に重ねて冷蔵庫で冷やすだけです。

1人前の場合は、ビスケットはほんの少しか、または入れなくても良いそうです。

ココアの代わりに、日本からのお土産でエータベータにあった抹茶の粉を散らした和風ティラミスも試作してみました。

ナポリのシェフ、またスペインから来たシェフの方にも食べていただいて、抹茶がティラミスに合うと好評でした。

お昼は作ったティラミスと、カヴァテッリのトマトソースを食べて終了です。

本場のカヴァテッリパスタを今日初めて食べましたが、イタリアならではのアルデンテな固さで噛みごたえがあり、ソースと良く絡んでとても美味しかったです。

 

 

夜は食事会に呼んでいただき、ドネガーニ先生の友人のマチルデさん宅へ。

普段なら関わる事がとても考えられないような方達のお話しを聞き、美術館のようなお家の中を鑑賞して、美味しいご飯をお腹いっぱい食べた一日でした。

Nより