ボローニャ便り 11月6日

11月就労2日目。今日のスケジュールは、農園から収穫された新鮮な野菜(ビート)を入れたボローニャ名物である卵入りのパスタ生地、そして、カルボナーラを作りです。ジョバンナさんが一人一人のメンバーをとても親切に指導。また、昨年度からこの就労プロジェクトへ参加しているイタリア側のメンバー(精神保健局利用者)は、現在、チュタ―(ティーチング・アシスタント)として、新しいメンバーの調理の技術面をサポートするまでに成長しており、まさしくこの就労プロジェクトの大きな実りとなっています。

仕事に集中出来ない、チームワークが作れないといった問題がメンバー個々に発生した時、スタッフの介入の基礎になるのは、本人の話をよく聞くこと。構築された関係性の中で、語り、聞き合う場面が時間の自然の流れと共にあるのが、エータベータという一つの社会的協同組合の大きな特徴であり、今日もそんな場面がありました。

今日のカルボナーラ作りでは、パスタをフライパンへ入れるタイミング、混ぜ方を失敗。パーフェクトに学ぶ為に“明日、もう一度、作ってみましょう。”という事になりました。わからないことがあれば、直ぐに確認し、確認し合える環境は、日本から来たばかりのNさんにとっても安心し、学び働ける環境です。

 

 

夕方は、ドネガーニ先生(ボローニャ精神保健元局長)と共にボローニャ市庁舎にて開幕した“ボローニャの記録-68年の痕跡”展を見学。この展覧会は、1968年にボローニャで起きた様々な社会運動(学生、労働者、女性運動など)の記録をテーマ別に展示。“精神医学”の改革運動をテーマにしたセクションもあり、現在のボローニャ精神保健局の建物が公立ロンカーティ精神病院だった時代の運動が紹介されています。その中には、1967年、フランコ・バザーリアがロンカーティ精神病院の院長選出へ志願、しかし、彼の“反施設化”の立場、また哲学的な思考が問題視され、院長には、選出されなかった事実を示す貴重な資料なども展示されています。

展示見学後は、聖ステファノ教会近くのバールへ。“人は、いつから、病人と呼ばれるようになるのか? 一度、精神障害の病名がついてしまったら、その人は、ずっと病気なのですか?”という質問がNさんからあり、ドネガーニ先生に答えて頂き、いろいろなことを共に考える時間がゆったりと流れました。